美術をたのしむプログラム「イチおし!-スペシャルぬり絵編-(6/9)」実施報告

 名古屋市美術館では、作品をただ見るだけではなく、さまざまな方法でアプローチすることで美術や美術館に親しみをもっていただくことを目的に、主に小中学生(とその保護者)を対象とした「美術をたのしむプログラム」を年34回実施しています。

 69日(日)には、令和になって初めてのプログラム「イチおし!-スペシャルぬり絵編-」を実施、小学4年生から大人まで26名の方が参加しました。

 参加者には、所蔵作品をもとに当館学芸員が作成した特製のぬり絵に取り組んでもらいます。今回は荻須高徳《サン=ドニ河岸》とルフィーノ・タマヨ《乗り遅れた乗客》、2種類を用意しました。

 まず、参加者全員でまだ色のついていないぬり絵の図柄をよく観察します。何が描いてあるだろう?どんな場面だろう?

「並木道の木の枝に葉っぱが全然ないから、季節は冬だと思う」など、輪郭線だけの絵からも読み取れる情報はある反面、色がないために分かりづらいことも多いと気づきます。実際の作品はどんな色づかいか、テーブルごとに想像し話し合ってから、展示室へ作品の確認に向かいました。

写真1_作品鑑賞中

「空はきっと晴れてて青だと思ったけど、本物の絵の空はグレーで薄曇りだった」

「建物の壁を表す色がちょっとずつ違っていて、思っていたより複雑だった」

「人の肌の色が緑で塗ってあって、びっくりした」

など、自分たちの予想との違いに驚いた参加者から、たくさんの意見が出ました。

なかには「色が付いて少しは分かったところもあるけど、やっぱりよく分からない絵だと思う」という率直な声もありました。

 作業用テーブルに戻ってからは、色鉛筆の握り方や動かし方を確認し、少しだけ彩色の練習をしました。左から右へ行くに従って、段階的に色が濃くなるように4つのマスを塗り分けるというものです。たった1色でも濃さを変えることで色数を増やせること、混色など複数の色を組み合わせるときにも応用できることを体験しました。

写真2_力加減の練習

 その後、2種類から取り組みたい作品を選び、いよいよぬり絵開始。本物の作品そっくりに色付けする、自分で考えてオリジナルの彩色を施す、どちらの塗り方でもOKとし、元の作品が気になったら展示室へ何度も確認しに行っても良いことにしました。隣り合う色の組合せや、混色の仕方などを考えながら少しずつ丁寧に塗っていく姿は、真剣そのもの。参加者は大勢いるのに、会場はとても静かでした。

写真3_ぬり絵作業中

写真4_みんなぬり絵に熱中

 約1時間後、完成した人もそうでない人も一緒に、各自のぬり絵を鑑賞し合い、それぞれに工夫したところ、難しかったところ、ぬり絵をしながら気づいたことなどを発表・共有しました

「地味な絵でも、何度も見るうちに、実はたくさんの色が使ってあることに気づいた」

「色を混ぜるのが難しかったけど、自分の思い通りの色が出来ると嬉しかった」

「こういう風にしたい、と思って色を選んで塗ってるのに、なかなかイメージ通りにならなくて難しかった。絵描きの人はすごいと思った」

など、参加者がこの日の経験から感じたことをたくさん聞くことができ、スタッフとしても嬉しかったです。

 最後に、お持ち帰り用のファイルにぬり絵を挟んで終了、解散としました。 

 今回のプログラムは大変たくさんのお申込みをいただいたため、抽選となりましたが、開館日の土日および祝休日には「コレクションをぬり絵でたのしむ」という自由参加のプログラムを別途開催しています。お一人様1枚、1日先着30名で年齢制限はなく、個々人のペースでぬり絵を楽しんでいただけます。常設展にお越しの際にお時間がありましたら、ぜひ挑戦してみてください。(3)

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