ショコラ

 みなさまは良き年末年始を過ごされたでしょうか。名古屋市美術館は特別展「永青文庫 日本画の名品」(会期:114[]226[])と常設展「名品コレクション展III」」(会期:114[]416[])で新しい年にみなさまをお迎えします。

 永青文庫は、肥後熊本五十四万石の大名であった細川家が所持した文化財を保存、研究、公開しています。尾張徳川家に伝わった文化財が、徳川美術館と蓬左文庫に引き継がれているのと同じです。永青文庫の礎を築いたのは、十六代当主の細川護立(1883-1970)。彼自身が収集をはじめたのは明治末頃のことでした。

   この度の展示では、護立氏が収集した横山大観をはじめとする近代日本画の巨匠たちの名品を紹介します。それらの作品にはその作品が描かれた時代の雰囲気や求めるものが現れています。明治以降の爵位制度において侯爵であった細川家当主による収集という行為もまた、身分制のもとにあった時代のありようをうかがい知る手がかりとなるのかもしれません。

  同じく明治末頃のパリで、ひとりの黒人道化師が活躍していました。その名はショコラ。ロートレックが彼を描いていることでその存在を知ってはいましたが、詳しくは知るところがありませんでした。そのショコラを主人公にした映画が間もなく公開されます。ロシュディ・ゼム監督「ショコラ 君がいて、僕がいる」(2015年、フランス)です。原案となったノワリエルの著作も翻訳が出版されます。

  ショコラは黒人であったことからその存在が忘れ去られていました。人種差別が強くあった時代に彼がどのようにしてスターとなり、落ちぶれていったかを描くこの作品は、当時の社会を良く再現しているだけでなく、そこにあった問題が今なお消えずに残されていることを教えてくれます。多くの日本人にとっての憧れの都パリ、あるいは自由と平等と博愛の国フランスにもきれいごとでは済まない一面があることが分かります。この作品がすべてを教えるわけではありませんが、19世紀から20 世紀にかけてのフランスの美術を理解するのにも役立つと思い紹介します。

 

投稿者: み。

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