ポンペイの壁画展

《ケイロンによるアキレウスの教育》

図1:ケイロンによるアキレウスの教育

《踊るマイナス》

図2:踊るマイナス

 

名古屋市博物館で「世界遺産 ポンペイの壁画展」の開会式があり、展示を見てきましたので早速ご紹介しましょう。とにかく素晴らしい展示です。久しぶりに展覧会を見て、陶然としました。出品点数は63点。と聞くと物足りないように感じる方もいるかもしれませんが、見応えは十分です。

壁画はすべてフレスコ画。つまり漆喰の壁に水溶性の絵の具で描いたもので、今から2千年ほど前に制作されたものです。当然、状態がそれほど良いとは思えないのですが、同業者の立場で言うと、よくもこれほどのレベルのものを、こんなに沢山貨したものよ、とあきれるほどの質の高さです。

絵画技法としては素朴、時に未熟という表現も使いたくなりますが、決してそれがマイナスになりません。むしろ描くことの喜びがストレートに見るものに伝わってきます。そして、時代を経たものだけに許される絵の具の独特の質感と色合い。いつまで見ていても飽きることのない深みのある美しさがそこにあります。とりわけ素晴らしいのが、ナポリ近郊の農園別荘の壁画を再現した部屋。三方を美しい壁画に囲まれた部屋の中央に立つと、瞬く間に気分は古代ローマ世界。この部屋を見るだけでも十分に価値があります。

ルノワールの作品なら、パリでもロンドンでも、ニューヨークでも、そして東京でも見ることはできます。しかし、これだけのレベルの壁画をまとめて見ようとすればナポリかポンペイに行くしかありません。考古学ファンのあなたも、美術ファンのあなたも、見逃す手はありません。(F

*「世界遺産 ポンペイの壁画展」は925日まで名古屋市博物館で開催中

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