ゴームリーの彫刻がフィレンツェに登場

ただいまミラノ万博とヴェネツィア・ビエンナーレが開催されているイタリア。多数の観光客の来訪を見越してか、イタリア国内各所で興味深い企画展やアート・プロジェクトが実施されています。

 

フィレンツェの町並みを見渡せる観光名所として有名なベルヴェデーレ要塞(Forte di Belvedere)では、2015426日から927日まで、「アントニー・ゴームリーヒューマン」が開かれています。当館の裏庭の彫刻《接近Ⅴ》でおなじみの、イギリスの美術家のワンマン・ショーです。

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屋外のテラスを横切るように、黒い人物彫刻がずらっと一列に並んでいます。最初の人物はうずくまっていて、次に移るに従って徐々に立ち上がっていきます。最後の人物は広場の角に直立して、空を見上げています。

おそらくほとんどの観光客は、ここでゴームリーの個展が開催されていることを知らずに来ているので、唐突に現れたこれらの黒い人物を不思議に感じていたのではないでしょうか。彫刻の横に並んだり、列の間に入ったりして、彫刻をまねたポーズで記念撮影をしている人がたくさんいました。

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テラスだけではなく、建物内や要塞の通路の途中などにも彫刻が設置してありました。置かれる空間によって、人物のポーズは変わっています。ユーモラスなものもあれば、なにか哀愁を感じさせるものもありました。

人体と環境のかけあいによって生まれる面白さがゴームリーの作品の最大の魅力だと思います。ゴームリーの作品の場合、「引き」で撮った写真のほうが面白いものが多いのはそのせいでしょう。

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名古屋市美術館の《接近Ⅴ》もそうですが、ゴームリーの人物彫刻の多くは作者自身から型をとって作られたものです。ただ、今回のプロジェクトでは、四角いブロックが積み重なってできたロボットのような人物も混ざっていたのが印象的でした。

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人体が山積みにされています。よく見ると、ここに使われている像は、それぞれ他の場所で見た人物と同じポーズをしています。つまりゴームリーは同じポーズをした人物像を複数制作し、置き方や並べ方、組み合わせを変えて、まったく違う印象を作り出しているのです。整然と一列に並べれば、人の成長のようなポジティヴなものを感じさせるし、このように寄せ集めれば、虐殺のようなネガティヴなものを感じさせることができます。

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すばらしいロケーションで、実に見ごたえのある展示でした。

 

投稿者:nori

 

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