愛知県陶磁資料館 「西村陽平展」

4月になり、新年度がはじまりました。進学や就職などで新しい生活をはじめられた方も多いことでしょう。名古屋市美術館も今年度の最初の特別展「田渕俊夫展」が7日(土)からはじまりました。近隣の美術館でも連休前のここ数週間に今年度最初の特別展をはじめるところが多いようです。どこに行こうか迷ってしまいますが、ここでは愛知県陶磁資料館の「西村陽平展」をご紹介します。

「西村陽平展」チラシ

 西村陽平(1947-  )は京都に生まれ、現在は日本女子大学で教授として美術教育にたずさわっている造形作家です。西村は、焼成による造形をおもな創作手法としていることから、陶芸の分野で紹介されることの多い作家ですが、その作品や西村の意識には美術が取り扱うことがらが含まれています。愛知県美術館が作品を所蔵していますので、常設展でご覧になった方もあるでしょう。盲学校で美術教師をしていた西村は、その体験をみずからの資質に活かし、私たちの思い込みをくつがえす作品を作りつづけています。

《IRON CONTAINER FOR MUMMIFIED MAGAZINES》1992年 愛知県美術館蔵

名古屋市美術館は開館後まもない1980年代の末から90年代に、障害のある方々にも美術や美術館に親しんでいただくためのきっかけを提供する特別展を企画実施してきました。そこでは西村が指導した盲学校の生徒の作品も西村の作品も借用、展示したことがあり、その担当であった筆者は、その体験を通して西村本人に多くのことを学ぶ契機を与えられました。

美術館・博物館で開催されるはじめての個展であるこの度の展覧会は、西村の造形世界を初期から今日にいたるまであますところなく紹介するとともに、現在は愛知県陶磁資料館の所蔵品となっている盲学校の生徒作品を「西村陽平が出会った子どもたち展」としてあわせて展示紹介しています。陶磁資料館本館を常設展示を除いてまるごと使用した展示は、質量ともに見ごたえ十分です。戸惑いや苦しさを乗り越えて作る楽しさや喜びをあふれさせている子どもたちの作品は、筆者に久しく忘れていた清々しさを呼び戻してくれました。

 《目の色がかわるふくろう》宮崎佳代子(千葉県立千葉盲学校) 1984年 愛知県陶磁資料館蔵

 愛知県陶磁資料館は瀬戸市の丘陵地にあり、豊かな自然に恵まれています。作陶や人間国宝をはじめとする陶芸作家の茶碗を使った喫茶も体験できます。最寄の公共交通機関である高所を走るリニモからは、田渕俊夫が愛知県立芸術大学の教員時代に親しんだ長久手の丘陵地が一望できます。新緑が美しいこの季節、一日がかりの小旅行としても楽しいひとときを過ごしていただけるように思います。

「彫刻を聞き、土を語らせる-西村陽平展」
「西村陽平が出会った子どもたち展」
愛知県陶磁資料館 2012年4月7日(土)~5月27日(日)
http://www.pref.aichi.jp/touji/

投稿者:み。

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