浅野弥衛アトリエ訪問

浅野弥衛(あさのやえ/1914-1996)は、引っかきによる線描で画面を作る独自の作風で高い評価を得ている戦後の東海地方を代表する作家です。生誕100年となる今年は、各地で浅野を偲ぶ展覧会が開かれ、久しぶりに多くの作品がまとめて見られる機会となっています。

当館でも、所蔵作品を紹介する常設展示「名品コレクション展II」(会期:9月6日~10月26日[前期]/ 11月8日~12月23日[後期])において、<郷土の美術>のコーナーで「浅野弥衛と桜画廊の作家」というテーマで作品を展示しています。

「桜画廊」は、名古屋を代表する現代美術画廊であり、浅野の主要な作品発表の場でもありました。「桜のおばちゃん」として親しまれていた画廊主の藤田八栄子(1910-1994)の逝去による閉廊から20年。これに因む企画でもありますが、浅野と同じ時代を生きた作家たちの作品とともにその作品をご覧いただくことを意図したものでもあります。

三重県鈴鹿市に生まれ、生涯を過ごした浅野は、「三重の作家」であり、10月1日の誕生日を初日として、三重県立美術館とパラミタミュージアムで個展がはじまっています。それに先立ち、鈴鹿市文化会館でも9月26日から28日までの会期で個展が開かれ、あわせて同市内にある浅野のアトリエが一般に公開されていました。

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アトリエの外観

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アトリエのなか

浅野の生家は代々刻み煙草の仲買を営んできた旧家で、アトリエは築300年ほどのしもた屋の店先を改修したものです。アトリエのなかだけでなく、土間を挟んだ板敷にも作品や資料類が展示されていました。

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アトリエの内窓から見た店先の板敷

作家が使用していた道具や画材も展示されています。

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道具と画材。書籍は浅野が装丁を担当したもの

お邪魔している間にもたくさんの方がいらしていました。

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作品や資料を熱心にご覧になるみなさん

アトリエを訪れるのは久しぶりのことでしたが、ご遺族によって大切に守られているのを拝見し、変わらぬ様子に懐かしさを感じました。浅野の作品は、作家が暮らした鈴鹿の自然と風土に強く結びついています。浅野が「鈴鹿の作家」であることを改めて感じたアトリエ訪問でした。

投稿者:み。

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