「ロボット家族お父さん、お母さんのニューヨーク訪問記」③(完)

 ニューヨークのアジア・ソサエティ美術館での展示を無事終えて、8月27日に帰国しました。
前回のブログでご紹介したとおり、23日(土)に組み立て展示を終え、テスト・ランも確認、映像の立ち上げの手順についても伝え、作業を終了いたしました。翌24日(日)は、美術館自体が休館、展示作業も休み、終日フリーでしたので、同地の美術館を訪れ、展覧会を見学しました。今回は展覧会の報告を兼ねて、連載の最終回としたいと思います。
ホテルのあった東48丁目から、北に向かって歩き、まずは東89丁目にあるグッゲンハイム美術館ニューヨークを訪れました。
図①

 同美術館では『イタリア未来派』の展覧会が開催されていました。相変わらず充実した内容で、充分に堪能できました。グッゲンハイム美術館を出て、その後セントラル・パークを横切って西78丁目にあるチルドレンズ・ミュージアムをはじめて訪問しました。
図②

 同美術館では今年の五月から七月にかけて、レッド・グルームスの“ラッカス・マンハッタン”を素材とした展覧会とワークショップが開催されていました。残念ながら、そのプログラムは既に終了していましたが、レッド・グルームスの作品《ウールワース・ビルディング》を収蔵する当館にとっても参考になるのではないかと思い、訪問した次第です。一階のメイン・ギャラリーは、日曜日ということもあって子供たちで賑わっていました。エレベーターで3階に昇り、ニューヨークの街をテーマにした「教室」に入ると、同館が所蔵するグルームスの作品《フラットアイアン・ビルディング》とドローイングが展示されています。
図③

 この教室では、積み木やブロックを使って、ニューヨークの東22丁目とブロードウェイが交差する地点に建つ同ビルの周囲を作り出す仕組みと工夫が込められているようです。また、廊下には壁面にバスやタクシーが設置され、子供たちが乗り込むことによって、グルームスの手法が体験できるように工夫されています。
図④

 「教室」の雰囲気からは、単なる展示だけではなく、作品を見て、街の賑わいを想像し、更に自分たちで作ってみる楽しみを提供しています。当館の展示と紹介について振り返り、改めて考え直す機会となりました。
 子供たちが走り回る美術館を出て、今度は東に向かって歩き出しました。
 
 七番街は「歩行者天国」として開放され、通りの両側にははるか遠くまでいろいろな出店がでています。
図⑤

 セントラル・パークの中にある池では、人々が手作りのヨットを浮かべたりして、穏やかに晴れた日曜日を思い思いに過ごして居ます。
図⑥

再びセントラル・パークを突っ切って、さらに東へ、次に辿り着いたのが、マディソン・アヴェニューに面した東75丁目のホイットニー美術館です。
図⑦

 同館では90年代の現代美術の世界を席巻したジェフ・クーンズの回顧展が開催されていました。日本でも美術雑誌で紹介され、その後当時イタリアの国会議員で女優でもあったチッチョリーナ女史と結婚・離婚したりで、一時期世間を賑わしたりした作家です。入場券を買うための人の列が、美術館の一角を取り巻くのを見て、断念しようかとも思いましたが、アジア・ソサエティ美術館のYUNさんからもらったフリーパスを持っていたこともあり、覗くだけでもと思い、入ってみました。展覧会は同美術館の全フロアーを使って展示、バスケットボールを水槽に浮かべた1985年の作品から最新作まで、結構見応えのある内容で、改めてこの作家の重要性が確認できました。
図⑧

 会場風景。巨大で限りなく“ポップな”作品が数多く展示されていました。印象的だったのは、多くの観客が、スマート・フォンで撮影したりして、展覧会を本当に楽しんでいたことです。図⑨

 チッチョリーナとクーンズの肖像彫刻。このほか二人をテーマにした写真による巨大な平面作品もあったのですが、撮影するのも憚れるものでした。ご当地名古屋では、即「ワイセツブツ・チンレツザイ」として摘発されるでしょう。New Yorkでは「R指定」もなかったようです。
図⑩

 ご存知“King of POP”マイケル・ジャクソンの肖像。まるでマイセンの陶器のように美しいものでした。90年代初頭には530万ドルで落札されたそうですが、今日では予想もできない金額になっているでしょう。それはともかく、愛猿の「バブルス君」はどうなったのか、気になるところです。
図⑫

 2013年の新作《Blue ball》
図⑬

 その後、マディソン・アヴェニューを南に下り、53丁目を西へ、五番街に出ました。
 
 五番街と53丁目の南西角のビルには、「ユニクロ」が入ってます。
図⑭

「ユニクロ」の角を曲がれば、ニューヨーク近代美術館です。

 Moma(53丁目側)の入口
図⑮

 生憎、特別展示室は展示作業中のため休室中。

 前室に置かれた輸送用クレートの山
図⑯

それでも、収蔵品を紹介した常設展だけでも所謂“名品”ばかり、見所満載で、充分時間が費やせます。

 展示室内部、ブランクーシの彫刻群。
図⑰

 こちらはモンドリアンとデ・スティルの展示スペース。
図⑱

 ロシア・アヴァンギャルドのコーナー。展示されたロドチェンコの作品のすぐ側では隣のビルと54丁目が見下ろせる。
図⑲

展示室で見かけた光景。草間弥生と“ドレッド・ヘアー”。さすがNew York!
図⑳

 三階は、建築、デザイン、素描と写真のフロアー。同館では、既にテレビ・ゲームのソフトの収集・展示を始めています。向かって右端にあるのは、ブームの先駆けとして“一世を風靡”したMade in Japanの《スペース・インベーダー》。並んで待つことなく、勿論、無料で楽しめます。およそ35年振りに、“名古屋撃ち”を試してみました。
図21

 展示室から中庭の彫刻庭園を望んだところ。建物の上にはレイチェル・ホワイトリードの“給水タンク”。
図22

 閉館時間になり、近代美術館を出てもまだ陽が高かったので、ニューヨークの街路を散策しながら、また南に向かって歩き出しました。久々に充実した、そしてよく歩いた一日になりました。

[追記]
  当館所蔵のナムジュン・パイク《ロボット家族(お父さん・お母さん)》が出品されている展覧会『NamJune PAIK; Becoming Robot』は、Asia Society Museum(725 Park Avenue New York)で来年1月4日まで開催されています。
図版23
図版24

投稿者:J.T.

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