フライングマン、再び飛ぶ!

 5月5日付けの当ブログの最後に掲載した写真でおわかりのように、今年の3月26日休館日に地下ロビーの上空、およそ8mの高さに展示していたジョナサン・ボロフスキー《フライングマン》を修復および清掃のために、地上に降ろしました。1988年の開館以来、四半世紀以上も“飛んでいた”ことになります。地上に降ろして気づいたことを少し。このフライングマンは、彼自身が見た、空を飛ぶ夢を作品化したものです。その大きさは彼の身長と同じであることは知っていたのですが、脱落しかけていた手の部分は、ゴム製素材に彩色を施したもので、作家自身の手から直接型をとったものでした。下地となるそのゴムが経年により脆くなり、指の部分に亀裂が入ったようです。亀裂部分を補強し、仕上げの補彩をしました。前回のブログにも記しましたが、ジョナサン・ボロフスキーのサインは、個々の作品にシリアル・ナンバーとしてカウントされ続けます。《フライングマン》では、背中の部分に六桁の数字として書き込まれています。
ブログ図版①

それにしても“濃いい”顔です。
ブログ図版②

 そして、6月30日休館日に《フライングマン》の展示作業にあたりました。当日の展示・復旧作業は、修復や清掃よりも“大仕事”になりました。地上8mの空中に張られたワイヤーに吊るして固定、設置するには、高所作業台が必要なのですが、生憎当館にはその高さにまで届くものがありません。そこで今回は「何でも貸します」と言ってくれる業者から、高所作業台を借りることにしました。搬入されたのは、作業者が乗るゴンドラが9mの高さにまで昇降し、なおかつ自走するという代物で、4tロングのトラックの荷台に載せられて搬入され、さらに、幅、高さ、奥行きともに3mある荷物用エレベーターにもギリギリ入った姿は、もう正しく重機です。
ブログ図版③

ブログ図版④

地下に降りて、所定の位置まで自走し、
ブログ図版⑤

ブログ図版⑥

その後アームを伸ばしてゴンドラを目標の高さにまで揚げてみました。
ブログ図版⑦

ブログ図版⑧

ブログ図版⑨

ブログ図版⑩

最高点まで到達すると、心なしか揺れているようにも見えます。
ブログ図版⑪

その後、作品を載せて再び上昇、
ブログ図版⑫

ブログ図版⑬

目標の地点に到達後、作品を設置、
ブログ図版⑭

ブログ図版⑮

美術館スタッフも固唾を呑んで見守るなか、およそ一時間半で無事作業は終了いたしました。
ブログ図版⑯

ブログ図版⑰
 
およそ三ヶ月ぶりに“飛び上がった”フライングマンは、美術館エントランス総合案内で振り返ると、来館者の皆様と視線が合うように設置されました。皆様のご来館をお待ち申し上げます。
 
 さて、《フライングマン》が“空中”に戻るまで待機していたスタジオには、現在、ナムジュン・パイクの《ロボット家族(お父さん、お母さん)》の二体が収納されています。
ブログ図版⑲

ここ数年、常設展示では紹介できなかった作品ですが、この秋ニューヨークで開催される展覧会への出品が決定、それに向けて、現在修復に当たっています。次回、機会があればその辺りのことをご紹介いたします。

投稿者:J.T.

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