花の咲くころに…

春分を過ぎ、花の便りが届きはじめたころ、いくつか訃報も届いてきました。
美術と関わりのあるところでは、ベン・シャーン展の図録のためにインタビューをさせていただいた安西水丸さん。71歳とまだ若く、急なことで本当に驚かされました。89歳の多田美波さんと91歳の朝倉摂さん。お二人は、女性美術家の草分けとして後進に道を開き、今日まで第一線で活躍されていました。訃報には、「とうとう」と「まだまだ」が入り混じる思いがしました。

ここで少し多田美波さんのことに触れます。多田さんの作品は名古屋市美術館の所蔵にはなっていませんが、美術館のある白川公園に近接する若宮大通公園の一角にある彫刻の広場に《時空’ 88》が設置されています。若宮大通公園の真上には名古屋高速道路が走り、公園は高架橋で覆われています。高架橋設置時に公園の再整備が行われ、その折の昭和63(1988)年に彫刻の広場が設けられ、《時空’ 88》もその他の作品とともに新たに設置されました。名古屋市美術館の開館も昭和63(1988)年。美術館の敷地や白川公園に設置された屋外彫刻とともに楽しんでいただけるようにと願われていたものが、今では公園利用法の曲折もあって物置場のような状態になっています。

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図版: 多田美波《時空’ 88》の設置状況 (2014年3月31日 筆者撮影)

美術館の敷地にある作品もケアが行き届いているわけではありませんが、管轄が違うとは言え、胸が痛む思いがします。若宮大通と伏見通が交わる交差点沿い(東側)に《時空’ 88》は設置されています。鑑賞に良い状況ではありませんが、大須へ抜ける途中などにお立ち寄りください。作品が忘れられないでいることが、作家にとって何よりの喜びであろうと思います。

投稿者:み。

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