月別アーカイブ: 2020年11月

海を渡ったエコール・ド・パリ

11月14日(土)から、四国、松山の愛媛県美術館で「エコール・ド・パリの色と形」展が始まりました。

図1図2

名古屋市美術館所蔵の作品78点に、愛媛県美術館所蔵の12点を加えた計90点の作品によってエコール・ド・パリの造形的な特徴を浮かび上がらせようとする展覧会です。これまで様々な展覧会に当館のコレクションを出品してきましたが、エコール・ド・パリだけでこれほどまとまった数の出品をするのは初めてです。当館の工事による休館のために可能となった企画ですが、常設展でもこれだけの数を展示することはなく、手前味噌になりますが、改めてその充実ぶりを示すことができました。

13日(金)には関係者をお招きしての内覧会が行われましたが、コロナ禍が広がる中にもかかわらず、大勢の方々にご覧いただくことができました。
図3図4

これを機会に、名古屋市美術館に関心をお持ちいただき、コロナ収束後には是非名古屋を訪問していただきたいものです。

さて、当日はコロナの第三波襲来のニュースが話題となっていましたが、街を歩くとあの有名なライオンもマスクを着用していました。
図5

百獣の王の鋭い牙も、コロナを粉砕することはできません。どうぞ皆さまもくれぐれもお気を付けください。

72年前の今日、東山動物園に「猛獣画廊」が開設

戦時中の1943年11月、東山動物園ではじめて、日本軍の要請による猛獣の殺処分(ヒグマとライオン)が行われました。それ以降、園内の動物は殺処分とエサ不足による餓死で激減していき、1945年の終戦時に生き残っていたのは、ゾウ2頭、チンパンジー1匹、鳥類20数羽のみでした。東山動物園は1946年3月に再開し、上野動物園からカンガルーやイノシシを譲り受けることができましたが、それでも飼育動物の種類は圧倒的に不足していました。主のいないキリン舎で、幻灯機を使って動物の写真を映写して見せたり、アシカの池を子どもの遊泳場として開放したりと、なんとか来場者に楽しんでもらおうと苦心しながら、動物園はしばらく営業を続けていました。

fig.1
『中京新聞』(1948年11月14日)に掲載された写真

そんな猛獣のいない寂しさを埋めようと、当時存在していた「中京新聞」が主唱して、世界各地に棲む猛獣の生態を、旧カバ舎の壁面を覆う大画面に描いて公開する「猛獣画廊」が企画されました。絵画制作の依頼を受けたのは、太田三郎(愛知生)、水谷清(岐阜生)、宮本三郎(石川生)という東海・北陸ゆかりの3人の実力者です。それぞれ北極・南極、アジアの熱帯雨林、アフリカのサバンナに棲む動物を受け持ち、たて1.4m、よこ5.4mのキャンヴァスを相手に筆を奮いました。1948年11月13日(土)、「猛獣画廊」の開設式が挙行され、完成した壁画3点はこの日から市民に公開されました。翌日14日(日)には開設を記念して演芸祭が開かれ、東山行きの市電が大増発して、市内の子どもたち5,000人が招待されました。子どもたちは熱心に動物の姿を探して観察し、大人たちはライオンやトラを見て昔の動物園を懐かしんだそうです。

fig.2
水谷清 《東山動物園猛獣画廊壁画 No. 2》 1948年 名古屋市美術館

猛獣画廊の閉廊日はわかっていませんが、戦後初めてカバが来園した1952年にはおそらく壁画は撤去されていたとみられます。その後、この壁画がふたたび市民に一般公開されたのは、2018年10月6日(土)のこと。名古屋市美術館の開館30周年を記念した特別展「ザ・ベスト・セレクション」で、当館に寄贈されて以来はじめて展示されました(2018年11月25日(日)まで)。この壁画は動物園での公開が終了したのち、どのような状態で保管されていたのか詳しいことがわかっていません。そのため、画面の汚れや絵具の剥落など、大小さまざまなダメージを負った状態で当館に収蔵されました。当館では現在、壁画を修復するための寄附金を募っています。いつかこの壁画が完全な状態で展示される機会が来ることを願っています。

fig.3
特別展「ザ・ベスト・セレクション」での展示

お待たせしました!美術館が再開します!

名古屋市美術館は、2021年1月5日(火)に再開する運びとなりました。美術館は、新型コロナウイルス感染防止対策による休館に引き続き、屋内外の改修工事のため休館していますが、やっと再開日程が決まりました。

毎朝、まず今日一日の天気予報のチェックに始まり、仕事中には、突きあげるような工事の振動と音に「順調、順調」と納得?し、工事の安全第一と、1日でも早く開館したいという美術館職員としての想いで、工事現場の作業員さんたちに感謝とエールを送り続けています。

さて、再開にあたり、名古屋市美術館の魅力を存分に味わっていただこうと、当館の所蔵作品を中心とした、常設展「名品コレクション展 Ⅰ」を開催します。ここでは、会期を前期(1月5日~2月3日)、後期(2月6日~3月14日)に分け、一部展示替えを行いながら、シャガールの版画《死せる魂》をはじめ藤田嗣治、北川民次、荻須高徳といった多彩な作品を紹介します。さらに郷土の作家として、世界的な現代美術作家、荒川修作の作品を特集して展示します。

1
山元春挙 《観瀑之図》 1910-20年代 名古屋市美術館蔵

当館の看板娘、モディリアーニの《おさげ髪の少女》やシャガールの《二重肖像》等は、愛媛県美術館で開催する「名古屋市美術館所蔵 エコール・ド・パリの色と形」展(11月14日-令和3年1月31日)に出品のため前期はご覧いただけませんが、後期には展示いたします。

2

また当館では、新型コロナウイルス感染防止対策に取り組んでいきます。入館時の熱センサーによる検温や全館にわたる機械空調、さらに一日数回の消毒作業等、来館いただいた方々が、安心して鑑賞していただける環境を提供していきます。そのためにも、入館時のマスクの着用、手指消毒、発熱時の来館自粛等、感染防止対策にご協力をお願いいたします。

2月以降は、特別展も開催します。再開まで、あと少しお待ちください。