月別アーカイブ: 2020年9月

美術館、ただいま準備中(第4回)「天井落下対策工事が動き出しました」

「暑さ寒さも彼岸まで」の言葉通り、朝晩、めっきり涼しくなってきました。でも、美術館は、工事作業で熱気を帯びています。
美術館では、外壁工事に続き、天井落下対策工事が始まりました。建物の内外で工事に携わる多くの人が、完成を目指して作業に励んでいます。

美術館の地下では、大きな作品の大移動が終わり、がらんとしたロビー一面に安全対策設備が設置されました。

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美術館ロビーの天井は、「吊り天井」という構造になっています。

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「吊り天井」は、天井裏のスペースを活用できることや遮音性が高いことなどのメリットがある反面、地震の揺れに対する強度に不安な一面もあります。そのため、安心・安全で、地震時にも落下しにくい天井に補強する工事を行っています。

来館者のみなさまが、安全で快適に過ごしていただける美術館を目指し、誠心誠意工事を行っています。
開館までもう少々おまちください。

れいこからの手紙;岸田劉生展その後

こんにちは、キューピー・れいこです。
約半年ぶりに皆さまにご挨拶しております。お元気にお過ごしですか。

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3月1日まで岸田麗子さんのお父様の作品を展示した岸田劉生展が開催されていました。ご来館いただきました皆さま、本当にありがとうございました。今日は、展覧会が終わったあとのことを少しご紹介します。

展覧会が終了したその日の夜から作品の片づけが始まりました。一点、一点、状態を確認し、丁寧に包み、輸送用の箱に入れていきました。

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そして、作品を所有している美術館やコレクターのところに、北は北海道から西は福岡県まで、それぞれに学芸員さんが同行してトラックで運ばれていきました。長時間トラックに乗っているのは大変ですが、このたびはトラックからこんなきれいな富士山が見えたそうです!

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美術館には皆さまに書いていただいた感想ノートが残されています。そこには麗子さんを描いた《麗子微笑》を学校の教科書で見たときの思い出や、同じ名前の「レイコさん」が親近感を持って作品を見てくださったことが綴られており、とても感慨深く読みました。どれだけ麗子さんの絵が愛され、記憶に残る作品であるかが伝わってきました。その一部は、美術館が刊行している『アートペーパー』に掲載されています。美術館のホームページで見ることができますので、ぜひアクセスしてみてください。

今月には展覧会の図録を名古屋市の小学校・中学校・特別支援学校・高等学校、そして図書館に1冊ずつ贈りました。展覧会を見てくださった方も、見逃した方も手に取って作品を思い出していただけれたら嬉しく思います。名古屋市役所には、各校宛てに配送する資料などを入れる連絡用の棚があり、そこを利用して配布しました!

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美術館は岸田劉生展のあと改修工事のため休館し、展示室は、今はひっそりとしています。年明けにはお客様をお迎えできるだろうと聞いています。それまで、皆さまもお元気にお過ごしください。
それではまたお目にかかれる日まで。  れいこ

ピンクボート、東京へ!

現在休館中の名古屋市美術館ですが、当館の収蔵作品は、他の美術館でもご覧いただくことができます。

今回ご紹介するのは、現在は森美術館(東京・六本木)で展示されている、草間彌生の作品《ピンクボート》です。1992年に制作された本作品は、その翌年に当館に収蔵されて以来、皆様に親しまれてきました。2018年に開催された、当館30周年を記念した展覧会「ザ・ベスト・セレクション」でご覧になった記憶が、新しいかたも多くいらっしゃるのではないでしょうか。

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草間彌生《ピンクボート》1992年

この「ピンクボート」は、横幅3.5メートルもある超大型の作品。搬出は午前中いっぱいかけて行われ、当館からは学芸員2名が立ち会いました。

まず作品収蔵庫で、取れかかっている房はないか、大きな汚れはないか…など、普段あまり見る機会のない底面まで作品の状態を念入りに点検します。そして今回のために特別に用意した、大きな木箱(クレート)に入れていきました。片側だけ壁をたてた状態で、美術専門の作業員さん達が慎重に作品の置き場所を調整中。

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無事に梱包され、数人がかりでゆっくりと輸送トラックへと運びこまれていきました。移動した際の万が一の場合に備えて、箱の外側には青いクッションも備え付けられています。トラックの入り口には、心配そうに見守る当館学芸員。

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「ピンクボート」は、東京へむけて旅立っていきました。

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現在開催中の展覧会はこちら。

STARS展:現代美術のスターたち—日本から世界へ
2020年7月31日(金)~2021年1月3日(日)
森美術館(東京)

その名のとおり、日本の現代美術の「スター」作家6名を紹介する、大規模な展覧会です。こちらは、草間彌生の展示室。1960年頃の初期作品から最新の絵画シリーズまで、草間作品に通底するコンセプトとその展開を追うことができます。当館の「ピンクボート」は、部屋の中央に展示されていました!

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展示風景:「STARS展:現代美術のスターたち―日本から世界へ」森美術館(東京)、2020年
撮影:高山幸三 画像提供:森美術館
Installation view: STARS: Six Contemporary Artists from Japan to the World, Mori Art Museum, Tokyo, 2020 Photo: Takayama Kozo Photo courtesy: Mori Art Museum, Tokyo

手前にある高松市美術館所蔵の《無題(金色の椅子のオブジェ)》や、京都国立近代美術館所蔵の《トラヴェリング・ライフ》とゆるやかな連関をみせつつ、そのビビッドなピンク色で抜群の存在感を放っています。

このように名古屋市美術館のコレクションのなかには、日本全国から、また海外からも、貸出(展覧会出品)依頼をいただく作品が多く存在します。より多くのかたに作品をご覧いただく貴重な機会に今後も協力できるよう、これからも収蔵作品の修復・安全な管理を続けていきたいと思います。

美術館、ただいま準備中(第3回)「地下ロビーの作品大移動」

暑い夏の日、名古屋市美術館の地下ロビーでは作品の大移動が行われました。この秋から冬にかけて、ロビーの天井の耐震工事を行うことになっており、天井まで届く足場を組まなくてはなりません。それに先駆けて、ロビーにある3点の作品を安全な場所まで移動することになりました。

この日は美術品専門の作業員さん6名に加え、修復家の方やカメラマン、それに当館の学芸員が総出で作業にあたりました。

最初に移動したのは、レッド・グルームスの《ウールワース・ビルディング》です。

この作品の移動にあたっては、移動のし易さのため、そして移動先の天井に作品がつかえないように、作品のいくつかの部分を取り外す必要がありました。回転扉の部分を取り外し、作品上部も取り外し、人力で安全な場所まで移動しました。

ロビーの真ん中に立っていたボロフスキーの《ハンマリングマン》も、このとおり。倒して別の場所に移動します。

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天井近くを飛んでいたボロフスキーの《フライングマン》も、地上に降りてきました。こんな顔していたんですね。埃を払ってもらっています。

図2

3点の作品移動が終わったロビーはがらんとしてしまいました。

天井の耐震工事が終わったら、また3点の作品を元の位置に戻します。そして、美術館全体の工事が終われば、いよいよ皆様に展示をご覧いただけます。今しばらく、お待ちいただければ幸いです。

美術館はいつから再開するの?

名古屋市美術館では、当初11月から予定していた工事を前倒して実施しています。
「工事はいつ終わるの?」「いつから開館するの?」との問い合わせが寄せられています。fig.1

7月は長雨が続きましたが、8月は天候にも恵まれ工事も順調に推移しています。このまま進めば年明け早々には、開館できそうですが、あとは天候次第。台風の襲来が続けば工事も中断せざるを得ません。疫病退散、猛暑終息、台風回避。天に祈る日々が続きます。
台風シーズンが終了した時点で、正式に開館の時期をお知らせできればと存じます。