月別アーカイブ: 2018年10月

アメリカのボストン美術館館長来館

10月8日(月・祝)に、アメリカのボストン美術館のマシュー・テイテルバウム館長が来館されました。このたびは、クリスティーナ・ユー・ユーアジア部部長、オリバー・バーカー財団・政府・国際担当マネージャーもご一緒され、現在開催中の「ザ・ベスト・セレクション」展をゆっくりとご覧になりました。

テイテルバウム館長は、特に当館のメキシコ・ルネサンスのコレクションに関心を寄せられ、フリーダ・カーロの《死の仮面を被った少女》を熱心にご覧になられていました。また、モディリアーニやスーチンをはじめとしたエコール・ド・パリの充実したコレクションをどのように築いてきたのかをお尋ねになられていました。

現在開催中の「ザ・ベスト・セレクション」展では、当館を代表する名作や知られざる傑作を一堂に展示しています。また、作家や作品にまつわる資料や収集や保存にかかわる学芸員の調査研究も紹介しています。 (1125日(日)まで)

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テイテルバウム館長と早瀬館長

 

 

 

 

台風21号のちいさな爪痕

 

猛暑がひと段落し、秋風が吹き始めた9月は、二つの大きな自然災害に見舞われました。台風21号の襲来によって、多数の地域で停電や浸水の被害があり、続いて北海道地方を襲った大きな地震は、大規模な土砂崩れや全道規模の停電を引き起こしました。相次ぐ自然災害を前にして、自然に対する人間の無力をひしひしと感じずにはいられません。被災された方々に心からお見舞いを申し上げ、亡くなられた方々に謹んで哀悼の意を表します。

ここ名古屋市美術館でも、台風21号は小さな爪痕を残しました。交通機関が大きな被害を受けたことにより、ランス美術館(フランス)に貸出中の作品、ハイム・スーチン作《農家の娘》(1919年頃、当館蔵)の返却輸送が延期となったのです。

昨年10月、名古屋市とランス市は姉妹都市提携を結び、双方の美術館では、作品の貸し借り等を通じた交流を続けています。《農家の娘》は、今年5月から9月中頃まで、当館からランス美術館へ貸し出され、展示されていました。9月末頃当館に戻ったあと、すぐに106日から開催の「ザ・ベスト・セレクション」展に出品予定でしたが、残念ながらオープニングには間に合いそうにありません。

このランス美術館からの作品返却を例に、海外から作品を輸送する際、作品の点検や梱包、輸送に立ちあう「クーリエ」の仕事について、ここでご紹介したかったのですが、それはまたの機会に。交通機関の混乱が落ちつき、作品を安全に輸送する手段が確保できるまで、いましばらく様子をみる必要がありそうです。“娘”の帰還が待たれます。早く無事に帰ってきてほしいですね。(haru

ハイム・スーチン《農家の娘》

図版 ハイム・スーチン《農家の娘》 1919年頃 名古屋市美術館蔵

ハイム・スーチン(1893-1943)は、ミンスク郊外の小村スミロヴィチ(現ベラルーシ)生まれ。偶像崇拝を禁止するユダヤ教の家庭に育ちましたが、あきらめずに画家を目指し、1912年頃パリに出て、「蜂の巣(ラ・リューシュ)」に住みます。なかなか作品が売れず、貧困に苦しみましたが、モディリアーニやシャガール、キスリングらと出会い、親交を結びました。《農家の娘》は、南仏のカーニュで制作されたといわれています。モデルの女性は質素な服に身を包み、組んだ両手を膝の上に置く古典的なポーズで描かれています。