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水谷勇夫『神殺し・縄文』

 

   水谷勇夫(みずたにいさお/1922-2005 )は名古屋市に生まれ、名古屋を拠点としながら活動した美術作家です。名古屋市美術館も作品を所蔵しています。美術制作の手法を独学し、膠彩画(いわゆる日本画)の技法を基にした絵画やテラコッタによる立体の制作などとともに、舞台美術の制作や行為による美術表現を行うなど、多様に活動しました。1993年のNHK大河ドラマ「琉球の風」の題字を手掛けるなど、書家としても知られています。

 

 水谷は、縄文の土器や土偶に惹かれ、日本の神話との関係を独自の手法で考察することもしています。その成果は1974年に『神殺し・縄文』(伝統と現代社)として出版されています。初版発行から45年の今年、同書は単行本から文庫本へと体裁を変えて、名古屋の出版社である人間社から再び出版されました。

神殺し・縄文カバー (加工用)

水谷勇夫『神殺し・縄文』(人間社文庫 日本の古層、人間社、2018年) カバー表

 

 文庫本には、考古学者の小林公明と水谷の次男で歴史学者の水谷類による文章2つと水谷本人の論稿1つが加えられています。手に入れ易い文庫本によって、水谷への理解が深まることを期待します。

 

投稿者: み。

 

 

 

野外彫刻のひとりごと③

 

私は、《魂》と名付けられた石の彫刻である。

 

イサム・ノグチ氏の香川県高松市牟礼のアトリエで生み出された。

 

私は、名古屋市美術館の裏庭の池をのぞむ場所に、ひとりポツンと立っている。

 

裏庭には時折人々がやってくるが、大概は静かなものである。

 

ノグチ氏が私を《魂》と名付けたのは、何故なのだろうか。

 

実際のところ、魂というものがどのような形をしているか

 

誰も見たこともないだろう。

 

ノグチ氏にとっては、魂はこのような形に思えていたのだろうか。

 

私は来る日も来る日も美術館の裏庭に立ち続け、

 

いささかくたびれてきた。

 

しかしここにいると、裏庭の四季の移り変わりを見ることが出来る。

 

楽しみもまた、あるのだ。

イサム・ノグチ1

 

イサム・ノグチ2

 

*イサム・ノグチ《魂》1982年 安山岩

 イサム・ノグチは津島市出身の詩人野口米次郎とアメリカ人女性との間に生まれました。日本とアメリカという二つの祖国を持つ彼は、スケールの大きな彫刻作品やモニュメント、庭園などを制作し、「大地を彫刻した男」と呼ばれることもあります。この作品は小ぶりなものですが、無駄なものをそぎ落としたすっきりとした造形に、イサム・ノグチの類まれなセンスが光っています。この彫刻は、名古屋市美術館の南側にある庭に立っています。

 

投稿者:AN