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メットガラ

5月最初の月曜日にニューヨークのメトロポリタン美術館(略称MET)で催されるメットガラ。招待客のハリウッドスターなどのセレブリティが豪華に着飾った姿を見せる華やかな催事で、収益は服飾部門の1年間の活動資金になります。今年は51日がその日に当たります。

 

そのメットガラを取り上げた映画「メットガラドレスをまとった美術館」(アンドリュー・ロッシ監督、2016)が今、公開されています。原題は”The First Monday in May”で「5月最初の月曜日」。アメリカではこれで何のことか分かるのでしょう。

 

映画は、2015年のメットガラを取り上げたもの。いろいろな要素が詰まっていて、面白いのですが、社会や文化の状況が違う日本の私からすると、それはどうなのと思うこともままあって、考えさせられもします。

 

328日付けの日経新聞(夕刊)によれば、METのトーマス・キャンベル館長が6月末で引責辞任するとのこと。映画「メットガラ」の主要登場人物のひとりであるアンドリュー・ボルトンが企画したアレキサンダー・マックイーン展をはじめ、話題となる展覧会を開催し、在任中の8年間で入館者数を4割増の年間700万人超としても、累積赤字と経費膨張が問題となったようです。

 

MET の入館料は任意のため、館が示す希望金額の25ドルを全額払う人は少なく、一部調査では入館者1人が8ドル使うのに美術館が支出する金額は55ドルになるとのこと。こういう話を見聞きすると、大衆のしたたかさと費用対効果の問題が頭をよぎります。

 

映画を見ているとメットガラの大変さが良く分かるのですが、服飾部門はまだ寄付金を集めやすい方でしょう。話題作りの難しい部門はもっと苦労しているはずです。

 

欧米の例にならい、日本でも美術館、博物館で、入館料(あるいは入場料)以外の収益を上げるよう求められることが多くなっています。寄付金についても同様です。運営費を賄うことが目的ですが、誰がどのように運営費を賄うかというのは、美術館や博物館の設置の目的やはたすべき役割のあり方に大きくかかわりを持っています。

 

観光資源としての美術館、博物館にも関心が寄せられるようになっていますが、集客により立地する地域の活性化に益するところがあるとしても、METの例にも見られるように美術館や博物館そのものには期待するほどの経済的な利益をもたらすわけではありません。それよりも、観光資源としての価値をもたらしている文化資源としての価値を旧来とは比べものにならないほどの速さで減少させることになるだろうことにも目を向けるべきでしょう。観光資源としての価値の持続には、文化資源としての価値を維持し、増大させる営みが欠かせません。

 

彼我の違いを認識しながら、こちらはどうあるべきかを冷静に見極めて行く必要を感じます。

投稿者:み。