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アントニー・ゴームリーの作品《密着》と《接近》について考える

2016HP原稿2写真

名古屋の夏の猛烈な暑さに嫌気が差して、涼しい芝生の上に引っ越しました。

  

 

先日、美術館協力会のツアーで訪れた箱根・彫刻の森美術館にも、アントニー・ゴームリーの作品《密着》(1993年)が展示されていました。

名古屋市美術館の作品は《接近》(1999年)ですから、別の作品のように思われるかもしれませんが、実は原題は同じ《Close》の連作です。日本語に翻訳するときに違っていただけのことですが、どちらも地球に「接近」あるいは「密着」しようとしているということを意味しています。

紙の上に大きな円を描いて、その円弧の頂点に、小さな人体像を描き加えてみてください。ご存知のように、この作品は作家本人から型を取った彫刻作品ですので、「ゴームリーが地球を抱きしめている」イメージと言っていいかもしれません。

よく見ると、《密着》の方が彫刻の表面はつるつるに磨かれているようです。傘を差している人たちがいることからもわかるように、この日は雨が降っていましたので、より表面が濡れて輝いていました。

《接近》は、ゴームリーの着ていた衣服の襞や鋳造のための流し口が残っているくらいに、表面をまったく磨いていませんので、とても具体的でリアルな感じがするのに対して、《密着》は、かなり抽象化された人体模型のように見えます。このような意味で、「地球を抱きしめている」のは、ゴームリーという特定の人間ではなく、より普遍的な人間、言い換えれば、すべての人間ということになります。

このように《密着》と《接近》は同じ原題の連作ですが、人間像の表現という観点では対極にある作品と言えます。

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名古屋市美術館のディティール②

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さて、これはどこでしょうか?

緑色の手すりが綺麗な曲線を描いています。

名古屋市美術館の設計者黒川紀章は、このように曲線を巧みに使い、また、色にもこだわりました。

この緑は日本の伝統色「常盤緑(ときわみどり)」。建物を遠くから見た時にもひときわ目を引く鮮やかな緑です。

建物の中に入れば、やはり日本の伝統色である「朱(しゅ)」も目に入ります。

ご来館される時には、どうぞ、色にも注目してみてください。

 

投稿者:AN