月別アーカイブ: 2015年8月

夏休みこどもの美術館2015「caféの色を楽しもう」開催

報告が遅くなりましたが、86日(木)、夏休みこどもの美術館2015『ボクいろ、わたしイロ、どんな色?』のワークショップ「caféの色を楽しもう」を開催しました。

今年は、さまざまなものの色に注目してワークショップを企画しています。

この低学年向けプログラムでは食べ物の色に注目しました。

誰でも一度は食べこぼしで服にシミを作って、おうちの人に嫌な顔をされたことがあるはず。

何度洗ってもキレイにならなかった、ということは…身近な食べ物で染め物ができるのでは?

そんな素朴な発想から「caféの色を楽しもう」は生まれました。

 

さて当日、当館のワークショップには珍しく、会場は1階の「おはなcafé」。

講師は名古屋芸術大学で染織を教えている扇千花さんです。

写真1

 

普段、大学で教えていること、草木染のこと、今回「おはなcafé」のメニューを使って事前に行った実験のことなどを話してもらい、その結果も紹介。

キレイに染まるだろうと予想していたパンケーキ用のジャムや、クリームソーダに使うメロンシロップは、いったん色はつくものの洗うとすっかり落ちてしまい、誰が見てもキチンと染まったと思える結果が出た材料は、カレー粉とコーラでした。

写真2

 

ということで、参加者にはどちらの食材でTシャツを染めたいか選んでもらい、間違えないよう、それぞれの食材をイラストにしたハンコを押します。

写真3

 スタンプには洗っても落ちないインクを使いますが、より定着を良くするためにアイロンをかけました。

その後、Tシャツを水につけて一度湿らせます。

写真4

 

深くて大きなバットに、お風呂と同じ40度ぐらいのお湯を張り、魔法の白い粉を溶かして媒染液(ばいせんえき)を作ります。

今回は低学年対象であること、会場が普段から食べ物を扱う場所であることに配慮して、媒染には危険な化学薬品ではなく、ミョウバンを使いました。

写真5

 この液にTシャツを入れ、後でカレーやコーラがよく染まるようになじませるのですが、「では、30分間かき混ぜ続けてください」という説明に「えぇーっ?!」と驚きを隠せないこどもたち。

でも「しっかり混ぜるとTシャツがきれいに染まります」と聞き、交代でがんばってかき混ぜます。

写真6

 

交替で休んでいる間は、ワークシートの空欄を埋めていきます。

絵でも文章でも、得意な方で書いていいことにしました。

写真7

 

時計の針とにらめっこすること30分、バットからTシャツを引き上げ、よく絞ります。

写真8

 

そこへ今度はお鍋でグラグラ沸騰させた熱いコーラの染液が登場。

使ったコーラは1.5ℓのペットボトル12本分!!

会場に独特の甘いにおいが漂って、男の子たちの興奮はMAXに。

カレー粉の方は、熱湯に振り入れてダマにならないように溶かしました。

使ったカレー粉は約600g(カレー75皿分)、こちらもすごいにおい!

Tシャツを輪っかのように広げて、染液に浸します。

写真9

 

媒染液のときと同じく30分かき混ぜ続けるのですが、先ほどと違い熱湯のため、やけどすると大変なことに。

ふざけて染液が飛ばないように注意してね、とスタッフはマメに声かけするのですが、見た目が闇鍋みたいで、みんな何だか楽しそう…。

写真10

 

休憩中に書き込むワークシートも、だいぶ仕上がってきました。

写真11

 

30分後、バットからTシャツを取り出します。

今度はさすがに熱いので、箸でつかんでザルの中へ。

写真12

 

洗い場で余分な染液を洗い流し、水気を切ります。

写真13

 

最後に染めるのに使った食材と、染まったTシャツの色を見比べました。

コーラは品のあるライトブラウンに、カレーは鮮やかな黄色に染まりました。

写真14

 

この日はあいにく曇り空で、Tシャツを乾かすことができなかったのですが、湿っているときと乾いたときで、色が少しちがって見えるはずです。

ワークショップを通して、食べ物や飲み物を見るとき「おいしそう」だけじゃなく、「これで染め物できるかな?染まったら何色になるだろう?」と、色に注目するきっかけになったなら嬉しいです。

ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました。

 

投稿者:3

 

山田洋次監督の特別記念講演会

終戦記念日の815日、名古屋市美術館では、開催中の「画家たちと戦争展」の関連行事として、映画監督の山田洋次さんをお招きし、特別記念講演会を開催しました。

この講演会は事前申込制で、定員をはるかに超える応募をいただきましたので、非常にたくさんの方々が落選することとなってしまい、申し訳ありませんでした。

講演会は、午後2時からの開始でしたが、開始の2時間前から整理券の配布を待つ長い列ができました。

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講演では、山田監督が「画家たちと戦争展」をご覧になった感想、特に宮本三郎の「山下、パーシバル両司令官会見図」(残念ながら、本展ではパネル展示ですが)に基づく話をされ、70年前の監督がまだ中学一年生であった当時、満州の大連で勤労動員として、栄養失調で倒れそうになりながら、戦車壕を掘っていたことや、玉音放送を聞いた時の衝撃―ホッとした気持ちと、その直後に襲ってくる恐怖感など、戦争の記憶を辿りながら、静かに力強く話をされました。

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映画の歴史にも触れられ、1930年代の映画によって感動や喜び、不快など様々な感情を表出できた輝かしい時代から一変、1940年からの5年間は、政府による厳しい検閲による苦悩がありました。黒澤明監督の「姿三四郎」の検閲では、小津安二郎の賞賛により検閲を逃れたことや、稲垣浩監督の「無法松の一生」でのシーンが検閲によりカットされたが、その後リメイクした作品ではそのシーンが復活していたというエピソードを聞くことができました。

絵画や音楽の世界においても同様に、戦争が終わったことで、芸術家たちはどれほどホッとしたか、それは今回の「画家たちと戦争展」でも手に取るように伝わってきたと話されました。

最後に、山田監督が生涯で一番大事な作品をつくろうという思いで撮影に臨んだ映画『母と暮せば』が1212日から公開されるにあたって、この映画は井上ひさしさんが生前に舞台作品『父と暮せば』と対になる作品を、「次は長崎を舞台に作りたい」と言われていたことを知り、監督が家族やスタッフと相談し、実現させたもの。長崎へ原爆が投下され、命を落とした長崎医科大学の学生とその母、恋人の心温まる物語。映画化までの思いやキャストの選定など、ここでしか伺えない話を聞くことができました。

すでにクランクアップし、現在はセットやCGの制作にかかっているとのことで、11月頃には完成予定。当初の予定通り、戦後70年のうちに封切りを迎えることができて大変喜ばしいとのこと。

監督の話に聴き入り、あっという間の1時間でした。

お忙しい中、また、遠方よりお越しいただきました皆様、この講演を快くお引き受けいただきました山田監督、松竹株式会社他関係者の皆様、誠にありがとうございました。 

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松竹120周年記念映画  「母と暮せば」1212日(土)ロードショー

監督/山田洋次 出演/吉永小百合、二宮和也

戦後70年―。長崎を舞台に描く、母親役に吉永小百合、息子役に二宮和也、息子の恋人役に黒木華という理想的なキャスティングで山田洋次監督初の、やさしく泣けるファンタジー作品です。

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