月別アーカイブ: 2013年5月

ポジション2013 水野誠司・初美展

6月15日(土)より7月21日(日)まで、当館地下にある常設展示室3で「ポジション2013 水野誠司・初美展 ―フィンランド・ポートフォリオ―」を開催します。

水野誠司さん、初美さんはご夫婦で、共同で写真を撮影しています。フィンランドへの留学経験のあるお二人は、今回もフィンランドの写真を出品して下さいます。展覧会のサブタイトルの「フィンランド・ポートフォリオ」は、当館でもその作品を所蔵しているポール・ストランドという写真家の作品集「メキシカン・ポートフォリオ」をもとに付けたものです。ご夫妻はストランドを尊敬しており、敬意を込めてサブタイトルに取り入れました。

4月には、八事にあるギャラリーnoivoiで、ご夫妻の個展が開催されました。

noivoi003

これは、その会場の一部です。窓に貼ってある青い写真は、サイアノ・タイプという手法を使ったもので、フィンランドのいろいろな建物の窓を撮影しています。実際の窓に窓の写真を貼っている、というわけ。さらにこのギャラリーの風景を夫妻が写真に納め、展覧会に来た人へのお礼状に。

 

話を当館で開催する展覧会に戻しましょう。展覧会のチラシ兼パンフレットもやっと完成しました。

ポジションパンフ001

これを見て、沢山の方が作品を観て下さるといいな、と思っています。ギャラリートークやギターの演奏もありますので、ぜひ、お越しください。

 

*学芸員(原沢暁子)による解説会

7月6日(土)午後2時~

名古屋市美術館B1F 常設展示室3(展覧会のチケットが必要です。)

 

*作家(水野誠司・初美)によるギャラリートーク

7月7日(日)午後2時~

名古屋市美術館B1F 常設展示室3(展覧会のチケットが必要です。)

 

*ギター演奏

展示室内で作品を見ながら、ギターの演奏もお楽しみいただけます。

6月21日(金)、30日(日)、7月7日(日)、12日(金)、20日(土)

いずれも午後3時~

ギター:アレクサンドル・ガラガノフ

名古屋市美術館B1F 常設展示室3(展覧会のチケットが必要です。)

 

投稿者:akko

上を向いて歩こう

上村松園展の会期も残すところ僅か。連日大勢のお客様でにぎわっています。素晴らしい作品を鑑賞するのはもちろんですが、ちょっと視線を移動させると思わぬ発見があったりします。

入り口1

さあ、これから展示会場。 でもなぜか入口がいつもより暗いような。

入り口2

入口ホールの上を見上げると、ガラス越しの青空が見えるはずが、暗幕で光がさえぎられています。 なぜ、こんなことに?

入り口3

ホールの右手5メートルのあたりには、最初の作品が並んでいます。天候によっては、このあたりの作品はホールの光の強い影響を受けてしまいます。日本画はとても繊細ですから、あまり強い光を浴びるとダメージを受ける場合もあります。というわけで、暗幕を張って光を調整しているわけです。

さて、会場の二階に移動すると、松園の代表作《母子》が飾られています。その手前の天井を見上げると、なにやら不思議なものが。

4   5

これは、黄色味を帯びた光を放つダウン・ライト。そこにカバーのようなものが付けられています。実はこのカバーが無いと、ケースの中に展示した《母子》を見るときに、ダウン・ライトの黄色い光が少しだけ画面の中で反射してしまいます。というわけで、このカバーは反射よけでつけたものです。

展示室は作品を楽しむところ。でも、時には上を見上げていただくと、作品をより楽しむための様々な工夫をご覧いただけ、さらに関心を深めていただけるのではないでしょうか。でも上ばかり眺めて、何かにぶつかったりしないよう、くれぐれもご注意を。

投稿者:F

はじめての美術 絵本原画の世界2013

新年度です。開館25周年を記念する「上村松園展」(会期: 4月20日[土]~6月2日[日])ではじまる今年度の名古屋市美術館の特別展。二番手は「はじめての美術 絵本原画の世界2013」(会期:6月15日[土]~7月21日[日])です。ポスターやチラシが、そろそろ皆様の目に触れはじめているのではないかと思います。

この展覧会では、宮城県美術館の絵本原画コレクションから選りすぐった作品をご紹介します。宮城県美術館の絵本原画コレクションは、福音館書店の1956年創刊の月刊絵本「こどものとも」を核としており、出品作品には、『おおきなかぶ』や『ぐりとぐら』、『はじめてのおつかい』など、今日まで読みつがれている日本を代表する名作絵本の数々が含まれています。タイトルを見聞きするだけで懐かしくなりますが、中身は絵本原画に備わった美術表現としての魅力をご紹介するいたって硬派なものです。

小さな子どもにとって、「読み聞かせ」はとても大切です。おとなに文字を読んでもらうことで子どもは絵本の絵に視線を集中し、物語を声として聞きながら描かれている世界を楽しむことができます。文字を読むことで絵を見ることがおろそかになりがちな私たちおとなに、文字のない絵本原画は、もう一度子どものときのように描かれた世界に遊ぶ楽しみをもたらしてくれます。優れた絵本原画は、そこに表わされた物語を具体的な言葉として想起させる力さえ持っています。

絵本原画の魅力のひとつをご紹介しましたが、絵を描いた作家たちは、多くの場合、文字で表わされた物語を託され、それを基に絵を描いています。絵にするときに、作家一人ひとりの想像力と創造力が働いているわけです。

シンガーソングライターとして一世を風靡し、今ジャズピアニストとして活動されている大江千里さんのアルバムに「うんとこしょ どっこいしょ」(2007年5月2日発売)があります。これは、絵本に曲をつけ、物語を朗読したもので、今回の出品作品では先述の3つと『そらいろのたね』が含まれています。絵本にインスパイアされたオリジナルの楽曲なので、純粋に言葉と向き合うことにはなりませんが、原画を見るときとは逆に物語の光景を思い描きながら楽しむことができます。

展覧会の関連催事では、音楽家の野村誠さんに会場で作品を見ながら鍵盤ハーモニカの即興演奏をしていただきます。造形ワークショップや記念講演会などもありますので、展覧会とあわせてご参加ください。

投稿者:み。

文楽

「文楽ってなに?」と思う人は多いと思います。

「人形浄瑠璃」と言うと「あっ、それなら」と思う人はいるかもしれません。私がそうでした。上方の人形浄瑠璃を文楽と言うそうで、世界無形文化遺産にも登録されていて、人形劇として高い評価をされているとのこと。

今開かれている「上村松園展」の中に、文楽を題材にして描いた作品が数点あることをご縁に人形遣い三人が名古屋市美術館に来てくれました。

5月1日午後、昨日の雨もすっかり上がり、好天の中、美術館のサンクンガーデンで、初めて文楽の人形に会いました。

IMG_0235 IMG_0238

150人の観客のなか、私はちょっと離れた位置にいたので、細かい細工は見えませんでしたが、目の動き、眉の動き、肩の動き、首の動きが、普通の人間以上に喜怒哀楽を表現していて、そこに小さな人間がいるようでした。

一体の人形を三人の人形遣いが動かします。身体と右手と頭の部分を受け持つ主遣い(おもづかい)の人、足の動きを受け持つ足遣い(あしづかい)の人、左手を受け持つ左遣い(ひだりづかい)の人の三人です。三人の息が合わないときれいな動きがとれないそうです。ほんの少しでしたが「二人三番叟(ににんさんばそう)」という、五穀豊穣を祈願する神事に由来する舞の一部を演じてくれました。テンポの良いお囃子や義太夫の掛け声をバックに、人形の、扇をふる姿や、手の上げ下げ、ダイナミックな足さばきは、楽しくもあり、少しこっけいでもありで、なかなか見ごたえがありました。

IMG_0251 IMG_0249

松園は、文楽に興味を持っていたとのこと。わずかな時間ではありましたが今回文楽に触れたことで松園の作品の楽しみ方が増えたような気がします。

 

投稿者:M.