カテゴリー別アーカイブ: 雑記

台風一過

台風21号にかかわる非常配備で10月22日(日)の夜から23日(月)の朝まで美術館で過ごすことになりました。特別展に出品する海外からの借用作品の受け入れのため、夜半から早朝まで美術館で待機したこともありますが、日付を跨いで長い時間を夜の美術館で過ごすのは久しぶりのことです。

10月21日(土)と22日(日)は名古屋まつりの実施日にあたり、多くのみなさまが楽しみにしておられたことと思いますが、英傑行列をはじめ多くの催事が中止になりました。名古屋市美術館でも関連事業として22日は常設展利用が無料となるため、ボランティアが通常のギャラリートークに加えて特別企画を用意していましたが、例年ほどにはお客様に利用していただくことはできませんでした。22日は衆議院議員選挙日でもあり、何かと落ち着かない週末だったように思います。

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写真は、23日(月)の早朝に撮影したものです。
警報がまだ出ているにもかかわらず、雨が上がり日差しが見えはじめた頃から犬の散歩やジョギングをする方の姿が白川公園に見られるようになりました。
写真の作品は、美術館の建物の正面に設置されているコールダ―の《ファブニール・ドラゴン II》です。「あれ、いつもと違うぞ」と思われた方があるかもしれません。

風を受けてくるくる回る頭の部分がなくなっています。
台風の風で激しく回転したり、煽られて飛ばされて周りの人を傷つけないよう、あらかじめ頭の部分を外しています。これは作品を守るためでもあります。
一年のうちに何度かこうした状態になります。
この度の台風では雨の降りはじめた21日(土)の朝に取り外す作業を行いました。

台風の折に美術館を訪れる方は多くはないと思います。
頭のないドラゴンをご覧になったことがある方も多くはないと思い、復旧前の姿をご紹介しました。

樹木の枝が折れたりしましたが、美術館には目立った被害はありませんでした。この後、各所で被害の状況が明らかになってくることでしょう。大きな被害のないことを願うばかりです。

投稿者:み。

「若林奮 飛葉と振動」展

立春を過ぎ、梅の花も咲いて、だんだん春らしくなってきました。新年度最初の特別展「若林奮 飛葉と振動」展(会期: 4月18日[土]-5月24日[日])の広報が始まり、美術館の外まわりにも看板が設置されました。

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白川公園北西入口(公園側)

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美術館前パーゴラ

「もうすぐだな~」と実感が沸いてきます。

準備に心をとられてすっかり忘れていたのですが、白川公園に植えられた水仙も芽吹き始めています。

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芽吹いた水仙

うっかりしていて、少し大きくなり過ぎていました。

「唐突になに?」と思われたかもしれませんが、出品作品と関係します。

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すべて若林奮作、左から《新100線 No.80》《新々100線 ♯85》《新々100線 ♯71》、撮影:山本糾

図版はその例ですが、植物の芽吹きは作家にとってとても大切な関心事でした。

この度の若林展は、作家にとって最も重要な主題であった「庭」に焦点が当てられています。<100線>のシリーズは持ち運べる彫刻として制作されています。そして同時に持ち運べる庭としても制作されています。

さてその意味するところは? それは会場で他の作品ともどもご覧になられてお確かめください。

みなさまのご来場をお待ちしています。

投稿者:み。

観音とチーズケーキ

神戸に旅行に行き、元町にある「観音屋」というお店に入りました。そこは、デンマークチーズケーキが有名なお店で、買って持ち帰ることもできるのですが、地下の喫茶スペースで食べることもできます。
そこで食べたチーズケーキの味はちょっと不思議な感じです。ほんのり甘いスポンジの上にトローリと溶けたデンマークチーズがのっていて、ややミスマッチのような、でもなんだかクセになりそうな・・・。
それも不思議ですが、やや暗い西洋風のアンティークな喫茶スペースの一角に厨子があり、観音様が祀られており、その前に、薔薇の花とコーヒーが供えられているというのも、なんとも不思議です。店内の壁にも西洋のポスターと観音の写真が共存しています。
デンマークと観音のコラボレーション? 西洋と東洋の出会い?
わけがわからないけれど、ちょっと愉快な気持ちになります。
お土産にチーズケーキを買ってきました。オーブントースターで温めて、チーズを溶かして食べるというもの。

ブログ 観音とチーズケーキ 写真

しかし、つくづく不思議なお店だったなあ。

投稿者:akko

クリスマスコンサート♪

 20、21日の二日間、地下ロビーでクリスマスコンサートを開催しました。
 初日はあいにくの天気で心配をしていましたが、白川公園でのイベントもあり、二日ともたくさんのお客様にお越しいただきました。
 セントラル愛知交響楽団さんのご協力により、池田逸雄さん(イングリッシュホルン)、山本雅士さん(ホルン)、山本洋子さん(ピアノ)に演奏していただきました。
 曲目は、G線上のアリア、クリスマスメドレー などなど。

コンサート1

 クリスマスツリーの横で次々と奏でられる素敵なメロディーにお客様はうっとり。
 ホルンを演奏された山本さんは素敵な演奏だけでなく、楽器や音楽についてもいろいろなお話をしてくださいました。

コンサート2

そして、お隣の科学館では・・・
たくさんの方がプロジェクションマッピングを楽しんでいました。
プロジェクションマッピング

クリスマスには数日早かったのですが、ほんの少しクリスマス気分を味わっていただけたのではないかと思います。
寒い中、お越しいただいた皆様ありがとうございました。

「あるく劇場」

今年始め、名古屋市美術館で開催した「親子で楽しむアートの世界 遠まわりの旅」展でお世話になったアーチスト・ユニットD.D.の最新作が発表されました!

愛知芸術文化センターの地下ロビーで開催されている

「あるく劇場」
D.D.作品『観客にとっては“不意打ち”、歩くものにとっては”成果”』

です。

写真1(D.D.さん撮影)

写真2

今回のD.D.の作品は迷路と舞台がくっついたものです。

今回は、どうやら「シーソー」が鍵のようです。
まずは、シーソーで遊んでみましたが、重みを増やしてもなかなか沈みません。どうも、軸が真ん中に設定されていないようで、自分が思うようには動かないのです。いつ、どのように動くのか、全く予測不可能なのです。さすがD.D.のプロジェクトです!

二人がかりで必死に沈めてみたところです。
写真3

写真4

さて、いよいよ迷路(舞台)です。中に入るとD.D.の迷路らしく、布の迷路が広がります。外から見たら小さな空間に見えた箱が、中に入ると意外にも幾通りかの道があり、進んでも、進んでも、まだ道があるのかと不思議になるくらい、入ったことがない空間に出会います。

ふと入った空間で絵とテキストに出合いました。テキストに何が書かれているのか読もうと近づいた瞬間、突然建物がぐらりと動き、カタンととまりました。外から見た舞台の姿からこの舞台は傾くのかなあと想像はしていたものの、実際に体験すると、びっくり!作品を見ながら自分がいる世界が変化するような体験でした。一旦傾くということに意識を向けたら、面白くなって迷路の中を歩き回ってしまいます。でも、別の空間に入ってしまうと再びどこで傾くのかわからなくなり、傾く瞬間再びびっくりしてしまいます。地面が傾き、私の世界も傾く、、、。
もう少し迷路の別の場所を行ってみたいと思ったら、もう出口に、、、。でも、きっとまだ回りきれていない場所があるような、、、。会期中、ぜひもう一度足を踏み入れたいと思います。

D.D.のプロジェクトの詳しい案内はこちら↓

http://www.aac.pref.aichi.jp/syusai/aruku/index.html

会期中、パフォーマンスも行われるようです。そちらも、ぜひ見に行きたいと思います!
また、傾きの大きさが倍になる時間帯もあるようです。さらなる、世界の展開を体験できるかも。そちらも楽しそうですね~!

投稿者:hina

シャガール回顧展

ただいまミラノのパラッツォ・レアーレ(王宮)にて、シャガールの回顧展(9月17日~2015年2月1日)が開かれています。

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ミラノのシンボル・ドゥオモの隣にあるパラッツォ・レアーレは、現在は大型美術展の会場として使われています。シャガール展と並行して、セガンティーニ展(9月18日~2015年1月18日)とファン・ゴッホ展(10月18日~2015年3月8日)も開かれているという、日本では考えられないような豪華なラインナップです。(写真を撮影した9月16日には、まだファン・ゴッホ展の告知がでていません。)さらに4月からはレオナルド・ダ・ヴィンチ展が始まるそうです。スケールが違います…
街中でもちらほらとシャガール展の告知ポスターを見かけました。

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回顧展の名にふさわしく、人生の節目ごとに細かく章立てされており(15章はあったと記憶しています)、シャガールの生涯と画風の変遷がたいへんよくわかる内容になっています。
当館所蔵の《二重肖像》も、「1923年:フランスでの再出発」という章の鍵になる作品という扱いで展示されています。第一次大戦時から滞在していた故郷ロシアを見限り、再びフランスの芸術環境の中で切磋琢磨していこうという転換点にあって、ロシア時代に見られた大胆な面構成・色使いが影を潜め、写実性をより重視する落ち着いた様式へと移行したのがわかります。
公式サイトのプロモーションビデオに《二重肖像》の展示風景が映っていましたので、ご紹介します。

http://www.mostrachagall.it/mostra-chagall/

220点以上の作品が集められ、イタリアでは過去50年で最大のシャガール展だそうです。民族色の強い初期の珍しい作品群や、《天使の墜落》(個人蔵、バーゼル美術館に寄託)、《黄色い磔刑》(パリ国立近代美術館)といった迫害の苦悩を描いた作品が特に印象的で、他にもメインビジュアルとなっている《散歩》(ロシア美術館)や《誕生日》(ニューヨーク近代美術館)といった名作も見ることができます。

この展覧会はミラノ終了後、ブリュッセルのベルギー王立美術館に巡回します。(2015年2月28日~6月28日)

投稿者:nori

パリの新しい美術館

またまたパリに来ております。今回は新しい美術館を二つご紹介します。
まず最初はルイ・ヴィトン美術館。 正式名称は「Fondation Louis Vuitton」すなわち「ルイ・ヴィトン財団」ということになりますが、美術館とご紹介した方がわかりやすいと思います。一般公開は10月27日からという、本当に出来立てほやほやの美術館です。
場所はパリの西、ブーローニュの森の中です。地下鉄の駅を下りて歩くこと10分ほど。
公園を過ぎたあたりから異形の建物が目に入ります。

(1)ルイ・ヴィトン美術館

大きすぎて全体像を写真に収めることができませんが、何となく宇宙船を思わせるような雰囲気です。入口正面に向かうと、そこにはお馴染みの「L」と「V」を組み合わせたロゴが私たちを迎えてくれます。

(2)美術館の正面

開館したばかりということもあって入口には長蛇の列。この建物は、スペイン、ビルバオのグッゲンハイム美術館などをデザインした建築家フランク・ゲイリーの最新作です。中の展示室の一つで、美術館が完成するまでの過程を、模型やデッサンなどでたどる展示を行っていましたが、その模型を見ていただくと全体像がつかめると思います。

(3)全体の模型

現代美術を紹介する美術館なのですが、お客さんの関心は美術品より建物にあるようで、階上のテラスに向かう人が大勢います。

(4)階上のテラス

そこに上って南を見れば、そこにはブーローニュの森が広がっています。

(5)南を向けばブーローニュの森

そして西の方に目をやれば、新凱旋門を中心とするデファンス地区の高層ビル群が見えます。

(6)西を向けばデファンスのビル街

肝心の展示室ではリヒターやボルタンスキーといった美術館のコレクション作家が、作家ごとに一部屋ずつ当てられて展示されています。

(7)リヒターの部屋

他に企画展示室もいくつかあります。しかし、個人的な感想ですが、建物はともかく、肝心の展示が今一つな印象です。展示室だけではないのですが、内装が全体的にチープな感じなんですね。もちろんルイ・ヴィトンとフランク・ゲイリーの組み合わせですから、チープなはずはないのですが、どうもそういう印象を抱いてしまうのです。建物が関心を集めているうちはよいが、そのあとはどうなるのだろうと、同じ業界の人間として余計な心配までしてしまいました。

さて、もう一つの美術館は逆にパリの街の東側。新オペラ座があるバスティーユ地区の「メゾン・ルージュ」です。新しいと言っても実は今年で開館10周年になる美術館ですから、私が知らなかっただけで、ご存知の方もいらっしゃるかも知れません。こちらは写真はないのですが、ルイ・ヴィトン美術館とは対照的に、既存の建物を改装して美術館に転用したもので、注意していないと見過ごしてしまうような街中のビル街の一角にあります。しかし、中に入ると外観からは想像がつかないほどの展示面積があり、そこに世界各地の「アール・ブリュット」、すなわち障害者や心に病を抱えた人たちの作品を含む、既存のアートの枠組みに収まりきらない作品が、これでもかというほど展示されています。日本人作家の作品も何点か展示されていますが、とにかく一点一点の密度が濃い。時間が十分に取れず、最後までしっかりと見ることができませんでしたが、関心のある方は是非一度訪問されることをお勧めします。
Paris Maison Rouge で検索すれば、必要な情報はすべて入手できます。

投稿者:F

浅野弥衛アトリエ訪問

浅野弥衛(あさのやえ/1914-1996)は、引っかきによる線描で画面を作る独自の作風で高い評価を得ている戦後の東海地方を代表する作家です。生誕100年となる今年は、各地で浅野を偲ぶ展覧会が開かれ、久しぶりに多くの作品がまとめて見られる機会となっています。

当館でも、所蔵作品を紹介する常設展示「名品コレクション展II」(会期:9月6日~10月26日[前期]/ 11月8日~12月23日[後期])において、<郷土の美術>のコーナーで「浅野弥衛と桜画廊の作家」というテーマで作品を展示しています。

「桜画廊」は、名古屋を代表する現代美術画廊であり、浅野の主要な作品発表の場でもありました。「桜のおばちゃん」として親しまれていた画廊主の藤田八栄子(1910-1994)の逝去による閉廊から20年。これに因む企画でもありますが、浅野と同じ時代を生きた作家たちの作品とともにその作品をご覧いただくことを意図したものでもあります。

三重県鈴鹿市に生まれ、生涯を過ごした浅野は、「三重の作家」であり、10月1日の誕生日を初日として、三重県立美術館とパラミタミュージアムで個展がはじまっています。それに先立ち、鈴鹿市文化会館でも9月26日から28日までの会期で個展が開かれ、あわせて同市内にある浅野のアトリエが一般に公開されていました。

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アトリエの外観

浅野2
アトリエのなか

浅野の生家は代々刻み煙草の仲買を営んできた旧家で、アトリエは築300年ほどのしもた屋の店先を改修したものです。アトリエのなかだけでなく、土間を挟んだ板敷にも作品や資料類が展示されていました。

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アトリエの内窓から見た店先の板敷

作家が使用していた道具や画材も展示されています。

浅野4
道具と画材。書籍は浅野が装丁を担当したもの

お邪魔している間にもたくさんの方がいらしていました。

浅野5
作品や資料を熱心にご覧になるみなさん

アトリエを訪れるのは久しぶりのことでしたが、ご遺族によって大切に守られているのを拝見し、変わらぬ様子に懐かしさを感じました。浅野の作品は、作家が暮らした鈴鹿の自然と風土に強く結びついています。浅野が「鈴鹿の作家」であることを改めて感じたアトリエ訪問でした。

投稿者:み。

「ロボット家族お父さん、お母さんのニューヨーク訪問記」③(完)

 ニューヨークのアジア・ソサエティ美術館での展示を無事終えて、8月27日に帰国しました。
前回のブログでご紹介したとおり、23日(土)に組み立て展示を終え、テスト・ランも確認、映像の立ち上げの手順についても伝え、作業を終了いたしました。翌24日(日)は、美術館自体が休館、展示作業も休み、終日フリーでしたので、同地の美術館を訪れ、展覧会を見学しました。今回は展覧会の報告を兼ねて、連載の最終回としたいと思います。
ホテルのあった東48丁目から、北に向かって歩き、まずは東89丁目にあるグッゲンハイム美術館ニューヨークを訪れました。
図①

 同美術館では『イタリア未来派』の展覧会が開催されていました。相変わらず充実した内容で、充分に堪能できました。グッゲンハイム美術館を出て、その後セントラル・パークを横切って西78丁目にあるチルドレンズ・ミュージアムをはじめて訪問しました。
図②

 同美術館では今年の五月から七月にかけて、レッド・グルームスの“ラッカス・マンハッタン”を素材とした展覧会とワークショップが開催されていました。残念ながら、そのプログラムは既に終了していましたが、レッド・グルームスの作品《ウールワース・ビルディング》を収蔵する当館にとっても参考になるのではないかと思い、訪問した次第です。一階のメイン・ギャラリーは、日曜日ということもあって子供たちで賑わっていました。エレベーターで3階に昇り、ニューヨークの街をテーマにした「教室」に入ると、同館が所蔵するグルームスの作品《フラットアイアン・ビルディング》とドローイングが展示されています。
図③

 この教室では、積み木やブロックを使って、ニューヨークの東22丁目とブロードウェイが交差する地点に建つ同ビルの周囲を作り出す仕組みと工夫が込められているようです。また、廊下には壁面にバスやタクシーが設置され、子供たちが乗り込むことによって、グルームスの手法が体験できるように工夫されています。
図④

 「教室」の雰囲気からは、単なる展示だけではなく、作品を見て、街の賑わいを想像し、更に自分たちで作ってみる楽しみを提供しています。当館の展示と紹介について振り返り、改めて考え直す機会となりました。
 子供たちが走り回る美術館を出て、今度は東に向かって歩き出しました。
 
 七番街は「歩行者天国」として開放され、通りの両側にははるか遠くまでいろいろな出店がでています。
図⑤

 セントラル・パークの中にある池では、人々が手作りのヨットを浮かべたりして、穏やかに晴れた日曜日を思い思いに過ごして居ます。
図⑥

再びセントラル・パークを突っ切って、さらに東へ、次に辿り着いたのが、マディソン・アヴェニューに面した東75丁目のホイットニー美術館です。
図⑦

 同館では90年代の現代美術の世界を席巻したジェフ・クーンズの回顧展が開催されていました。日本でも美術雑誌で紹介され、その後当時イタリアの国会議員で女優でもあったチッチョリーナ女史と結婚・離婚したりで、一時期世間を賑わしたりした作家です。入場券を買うための人の列が、美術館の一角を取り巻くのを見て、断念しようかとも思いましたが、アジア・ソサエティ美術館のYUNさんからもらったフリーパスを持っていたこともあり、覗くだけでもと思い、入ってみました。展覧会は同美術館の全フロアーを使って展示、バスケットボールを水槽に浮かべた1985年の作品から最新作まで、結構見応えのある内容で、改めてこの作家の重要性が確認できました。
図⑧

 会場風景。巨大で限りなく“ポップな”作品が数多く展示されていました。印象的だったのは、多くの観客が、スマート・フォンで撮影したりして、展覧会を本当に楽しんでいたことです。図⑨

 チッチョリーナとクーンズの肖像彫刻。このほか二人をテーマにした写真による巨大な平面作品もあったのですが、撮影するのも憚れるものでした。ご当地名古屋では、即「ワイセツブツ・チンレツザイ」として摘発されるでしょう。New Yorkでは「R指定」もなかったようです。
図⑩

 ご存知“King of POP”マイケル・ジャクソンの肖像。まるでマイセンの陶器のように美しいものでした。90年代初頭には530万ドルで落札されたそうですが、今日では予想もできない金額になっているでしょう。それはともかく、愛猿の「バブルス君」はどうなったのか、気になるところです。
図⑫

 2013年の新作《Blue ball》
図⑬

 その後、マディソン・アヴェニューを南に下り、53丁目を西へ、五番街に出ました。
 
 五番街と53丁目の南西角のビルには、「ユニクロ」が入ってます。
図⑭

「ユニクロ」の角を曲がれば、ニューヨーク近代美術館です。

 Moma(53丁目側)の入口
図⑮

 生憎、特別展示室は展示作業中のため休室中。

 前室に置かれた輸送用クレートの山
図⑯

それでも、収蔵品を紹介した常設展だけでも所謂“名品”ばかり、見所満載で、充分時間が費やせます。

 展示室内部、ブランクーシの彫刻群。
図⑰

 こちらはモンドリアンとデ・スティルの展示スペース。
図⑱

 ロシア・アヴァンギャルドのコーナー。展示されたロドチェンコの作品のすぐ側では隣のビルと54丁目が見下ろせる。
図⑲

展示室で見かけた光景。草間弥生と“ドレッド・ヘアー”。さすがNew York!
図⑳

 三階は、建築、デザイン、素描と写真のフロアー。同館では、既にテレビ・ゲームのソフトの収集・展示を始めています。向かって右端にあるのは、ブームの先駆けとして“一世を風靡”したMade in Japanの《スペース・インベーダー》。並んで待つことなく、勿論、無料で楽しめます。およそ35年振りに、“名古屋撃ち”を試してみました。
図21

 展示室から中庭の彫刻庭園を望んだところ。建物の上にはレイチェル・ホワイトリードの“給水タンク”。
図22

 閉館時間になり、近代美術館を出てもまだ陽が高かったので、ニューヨークの街路を散策しながら、また南に向かって歩き出しました。久々に充実した、そしてよく歩いた一日になりました。

[追記]
  当館所蔵のナムジュン・パイク《ロボット家族(お父さん・お母さん)》が出品されている展覧会『NamJune PAIK; Becoming Robot』は、Asia Society Museum(725 Park Avenue New York)で来年1月4日まで開催されています。
図版23
図版24

投稿者:J.T.

「ロボット家族お父さん、お母さんのニューヨーク訪問記」②

8月17日に輸送のための解体、モニターを取り外した《ロボット家族(お父さん、お母さん)》の二体は、あらかじめ採寸、制作された輸送用の巨大な木製クレート三箱に収納され、19日に通関検査、そして20日に美術館から搬出されました。
クーリエ(courier)として作品に随行することになった筆者は、翌21日成田発の旅客機で出発、およそ11時間のフライトで無事ニューヨークのJ.F.ケネディ空港に到着しました。作品を貸出、展示するアジア・ソサエティ美術館は、マンハッタンのPark Av.(パーク・アべニュー)の725番にあります。事前にその場所を地図で確認することもなく、「パーク・アベニューのだいぶ北の方だろうけど、マンハッタンの中にあるからいいや。」と思い、訪問したのですが、行ってみてビックリ。
マンハッタンの中心部、東70丁目“目抜き通り”パーク・アベニューに面した絶好のロケーションにあります。

パーク・アベニューに面したメイン・エントランス
図①
図②

美術館の前のパーク・アベニューを南に振り返ると、すぐ間近にグランドセントラル駅の駅舎とかつてのPAN-AM(パンアメリカン航空会社)、現在はアメリカの保険会社のビルが見えます。
図③

アメリカ美術の「殿堂」ホイットニー美術館には歩いて5分、メトロポリタン美術館やグッゲンハイム美術館ニューヨークにも10分程度の距離でした。これまでもニューヨークには訪れたことはあるのですが、悲しい哉、職業柄か単に生来の性格によるものか、ニューヨーク近代美術館(Moma)から北は、メトロポリタンやグッゲンハイムが面した五番街を南北に往復を繰り返していました(因みにその時はいつも高橋真梨子の歌を思い出します)。そのため、アジア・ソサエティ美術館は今回始めての訪問となりました。

さて、到着すると早速アジア・ソサエティ美術館のスタッフが出迎えてくれました。アジア・ソサエティ美術館学芸員で展覧会の企画担当者でもあるMichelle YUNさんと、ホテルの手配等、今回のニューヨーク滞在の手配をしてくれたJennifer Patric Limaさんとは、これまでメールのやり取りだけでしたが、本人に会うと、初対面とは思えずなぜか安心しました。
驚いたのは、Michelle YUNさん。妊娠中で、出産予定日は展覧会開幕10日後だそうです。今回の企画にかける彼女の熱い思いがひしひしと感じられました。

美術館は、9月4日から始まる「ナムジュン・パイク展」のために現在、ミュージアム・ショップを除いて休館中でしたが、それでも館の内外では展覧会に向けて着実にその準備が進められています。

同美術館エントランス・ロビー
図④

パーク・アベニューに掲げれらた展覧会予告看板
図⑤

館内カフェ・ロビーにも展覧会パネルが架け替えられました。
図⑥

展覧会場は美術館2F、3Fのフロアーで開催、二階への階段。
図⑦

到着早々、同館の展示スタッフと一緒と開梱、組み立てにかかりました。

作品本体を設置、これからテレビモニターの搭載と受信に取り掛かります。
図⑧

作品に関しては名古屋で改良・修復した折に、一通りのレクチャーと記録写真は撮っておいたのですが、いざ組み立てる段階になると、お願いしていた変圧器が用意されてなかったり、作品のバック・スペースが狭かったり、さらにはハンダ付けしている部分が取れたり、モニターが収納できなかったり、挙句の果てには、現地のテレビ番組New York1がうまく受信できなかったりと、結構苦労しました。それでも、Yunさんに文句も言うことなく、成田でレンタルしたポケットWi-Fiを試してみると、修復してもらった名古屋の技術者と連絡メールのやりとりができ、解決するための手立てを探りました。
21日(木)午後2時から開梱、組み立て、22日(金)は10:00~18:00まで終日、モニターの搭載とテレビの受信、映像チェックにかかり、三日目の23日(土)の16:00になってようやく、無事インスタレーションが完成しました。

設置を終え、受信のための機器にカバーをかけます。
図⑨

「お父さん」の横には、カナダから出品された「べビー」が展示されました。
図⑩

展示を終えて、作品を眺めるアジア・ソサエティ美術館スタッフ。
図⑪

展示を見守るYunさん。当館所蔵作品の貸出・出品を大変喜ばれ、作品を見るたびに感謝してくれました。
図⑫

New Yorkにて。

投稿者:J.T.